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2007年6月 9日 (土)

知ってほしい「発達障害」1

ここ数年、発達障害にスポットを当てたテレビ番組などが増えて、「自閉症」や「ADHD」、「アスペルガー障害」ということばを、よく耳にするようになりました。

私も障害者福祉施設の職員として、もちろんこれらの言葉は日頃からよく使うし、考えたりもします。ので、自分の混乱を避けるため、そして、少しでも多くの人に、こういった障害の特徴を理解して頂くために、自分の知っている限りのことと、考察を書いていくことにします。

 ここから先、アメリカ精神医学会が基準として出版している、DSMという、精神疾患や発達障害の診断基準を書いた本に基づいて紹介したいと思います。

「自閉症」

 正式には「自閉性障害」と定義されている。発達障害……一般によく知的障害と言われるものの大半が含まれ、あらゆる面の発達に障害が生じるもの……の中でも広汎性発達障害というものに含まれる。広汎性発達障害とは、幅広い範囲での発達が遅れるが、分野によって不均一である(得意なこともあるが、苦手なものが著しく遅れることもある)障害をまとめたカテゴリーである。この自閉性障害のほかに、アスペルガー障害やレット障害などがある。

参考のため、自閉性障害の診断基準を挙げておく。(桃色文字は管理人の注釈

A.[1],[2],[3]から合計6つ(またはそれ以上)、うち少なくとも
[1]から2つ、[2]と[3]から1つずつの項目を含む。


[1]対人的相互反応における質的な障害で以下の少なくとも2つによって明らかになる:
(a)目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語的行動の使用の著明な障害 (目や表情で合図をしても理解するのが難しい)
(b)発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗
(c)楽しみ、興味、成し遂げた物を他人と共有する(例:興味のある物を見せる、もって来る、指さす)を自発的に求める事の欠如
(d)対人的または情緒的相互性の欠如 (仲間と協力すること、あるいは『仲間』の存在の意味がよく分からない。自分以外は別世界のよう)

[2]以下の内、少なくとも1つによって示される意志伝達の質的な障害:
(a)話し言葉の発達の遅れ、または完全な欠如(身振りや物まねのような代わりの意志伝達の仕方により補おうという努力を伴わない)
(b)十分会話のある者では、他人との会話を開始し継続する能力の著明な障害
(c)常同的で反復的な言語の使用、または独特な言語を使用する (オウム返し、テレビCMなどを丸暗記して、繰り返し真似る等)
(d)発達水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや社会性を持った物まね遊びの欠如 (○○のふりをするなど、見立てや想像力を使った遊びが難しい)

[3]行動、興味及び活動が限定され、反復的で常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる:
(a)強度に、または対象において異常なほど、常同的で限定された型の、1つまたは幾つかの興味だけに熱中すること (おもちゃをまっすぐに並べるのが好き等)
(b)特定の、機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである (何かを始める前に必ず胸を叩く、手を洗う、決まった言葉を叫ぶ等や、一度習慣になったことを変化させることの困難さ)
(c)常同的で反復的な衒奇的運動(例えば、手や指をパタパタさせたり、ねじ曲げる、または複雑な全身の動きをする)
(d)物体の一部に持続的に熱中する

B.3歳以前に始まる、以下の領域の少なくとも1つにおける機能の遅れまたは異常:
[1]対人的相互作用
[2]対人的意志伝達に用いられる言語
[3]対人的意志伝達に用いられる象徴的または想像的遊び

C.この障害は、レット障害または小児期崩壊性障害では、うまく説明されない

 さまざまな発達障害の中で、社会性という面で遅れが出てしまうため、社会に適応することが難しいと言われる障害です。よく、「訳の分からないことをブツブツ言っている」とか、「ひとつのことにこだわって、他のことをやらせようとすると怒り出す」とかいう理由で、困った子だと言われてしまうようです。

自閉性障害の方は、自分以外の誰かがいる、ということを、もちろん知っているはずなのですが、その誰かを見たり、その人のことを考えたりするのが難しいようです。例えば、私が部屋を出ようと扉の前に立っていたとします。そこへ、自閉性障害の方が廊下から部屋に入ってきました。目の前の扉を開け、立ち止まっている私の前をすり抜けて部屋に入り、バタンと扉を閉めてしまいます。出入りする人がいるなら、扉を開けておいてあげようかなとは、なかなか思いつかないのです。自分がいる、誰かがいる、その2つのことは分かっていても、自分と相手がどう結びつくか、結びつき方を理解するのが難しいのです。それが自閉性障害の大きな特徴です。

ところで、自閉性障害は多くの場合、知的障害を伴いますが、実のところ自閉性障害の診断基準には、知的障害は含まれていません。お読み頂ければお分かりかと思います。知的障害はあくまで合併症状のひとつですが、ほとんどの方が知的障害を持っています。知的障害を持っていない自閉性障害を、「高機能自閉症」などと言うことがあります。自閉症であることが分からずに成長し、思春期になって仲間関係などがうまくいかなくなり、初めて自閉症の診断を受けるケースも多いと言われています。

自閉症の人と関わる「ここだけは知ってほしいポイント」

 自閉症の人に関わった時に、「どうしてそんなことにこだわるの!」「優しく頭を撫でてあげたのに、どうして怒り出すの!」等、不愉快な思いをされた方も少なくないかと思います。しかし、人との関わりという概念がうまく理解できないため、体を触られることが不愉快だったり、目の前にある、自分の思うとおりに動かせる物に熱中したりと、本人なり理由のある行動をしているのです。

また、自閉症の人の中には、大きな音や声が苦手という人も多いです。素敵な音楽を聞かせたのに、あるいは、面白い映画を見せたのに、大声を出して嫌がったりして、びっくりしたなんて体験はおありでしょうか。そういう人たちは、カクテルパーティー効果が効いていないようです。カクテルパーティー効果とは、パーティー会場のような雑音の多い場所で、自分の聞きたい音や自分の話し相手の声だけを選択して聞き取るという、誰もが脳の中でしている情報整理です。そういった情報処理機能がうまく働かず、色々な音が全て耳に入ってしまうため、混乱して大声を出したりしてしまうことがあります。テレビの生放送インタビューなどで、風や雨の音、車の音などが大きく、肝心の人の声がうまく聞き取れないことがありますよね。でも、現場にいる人には確かに聞こえているのです。テレビ用のマイクなどは、聞こえる全ての音を拾ってしまうので、ちょどカクテルパーティー効果が効いていない状態に近いと言えるでしょう。

自閉症の人に何かを注意したい、危ないよと声をかけたい時などは、分かりやすい言葉で、はっきりと、なるべく短い文章で話しかけて下さい。「ほら、ドアが少し開いてるから風が入ってくるよ。閉めて」と言われても、文章の最初から理解しようとして、途中で追いつかなくなって「???」と困ってしまいます。「ドアを閉めてください」あるいは「ドアを閉めます」と、「何をどうしたらいいか」を分かりやすく言葉にしてあげると親切です。

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