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2008年10月16日 (木)

広汎性発達障害……アスペルガー障害

先日の学習障害のお話で、ちらっと出てきたアスペルガー障害について、少し書きたいと思います。

アスペルガー障害は、最近、自閉性障害(通称、自閉症)と混同されがちで、知的障害のない自閉症などと言われていることがあります。もっとも、自閉症によく似た特徴をもつものを、自閉症とあえて区別してしまわずに、「色々なカラーの自閉症」の一群(これを自閉症スペクトラムと言います)として見ようという考えが主流になっています。そういう意味ではアスペルガー障害も、自閉症スペクトラムの一つ、だから、「自閉症の一種なんです」と、表現できるわけです。

元来、「自閉症」と言われていた障害は、1943年にアメリカのカナーという学者が報告した障害のことを主に指していました。後に色々と見直されて、現在の診断基準になっているわけですが、それはだいぶ前に掲載いたしましたので、この場では割愛させて頂きます。
さて、回りくどくなりましたが、カナーの翌年にアスペルガーによって発表され、1980年代になってようやく認められたのが、違ったタイプの自閉症、ここで言うところのアスペルガー障害、あるいは症候群です。以下はDSM-IVに記載されている診断基準です。
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A.以下のうち少なくとも2つにより示される対人的相互作用の質的な障害:

(1)目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調整する多彩な非言語性行動の使用の著明な障害。

(2)発達の水準に相応した仲間関係をつくることの失敗。

(3)楽しみ、興味、成し遂げたものを他人と共有すること(例えば、他の人達に興味あるものを見せる、持って来る、指さす)を自発的に求めることの欠如。

(4)対人的または情緒的相互性の欠如。

B.行動、興味および活動の、限定され反復的で常同的な様式で以下の少なくとも1つによって明らかになる:

(1)その強度または対象において異常なほど、常同的で限された型の1つまたはそれ以上の興味だけに熱中すること。

(2)特定の、機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。

(3)常同的で反復的な衒奇的運動(例えば、手や指をぱたぱたさせたりねじ曲げる、または複雑な全身の動き)。

(4)物体の一部に持続的に熱中する。

C.その障害は社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の臨床的に著しい障害を引き起こしている。

D.臨床的に著しい言語の遅れがない(例えば、2歳までに単語を用い、3歳までに意志伝達的な句を用いる)。

E.認知の発達、年齢に相応した自己管理能力、(対人関係以外の)適応行動、および小児期における環境への好奇心などについて臨床的に明らかな遅れがない。

F.他の特定の広汎性発達障害または精神分裂病の基準を満たさない。
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狭義の自閉症との違いは、簡単に言うと、言葉の遅れがないことです。それ以外の診断基準は、自閉症とまるきり一緒です。ペラペラと話をしますが、いわゆる「行間を読む」ことや、今流行りの言葉でいえば、「空気を読む」のが苦手です。でも、KYなどとは言わないで下さいね。たとえば、このようなことがあります。
一緒にいる同僚が、タバコを吸いたいと思ってタバコを出したけれど、ライターを忘れてきたことに気がつきました。そこで同僚は、「ねぇ、ライター持ってる?」と聞きます。するとアスペルガー障害の人は、「はい、持っています」と、答えるのです。ところが、ライターを出して貸してくれるということはないのです。彼ないし彼女は確かに、「ライターを持っているか」を聞かれましたが、「ライターを貸して下さい」とは言われなかったので、「持っています」と答えれば、それで完了なのです。
また別の例ですが、例えば、「ここまでどうやって来ましたか?」と尋ねると、普通は「車で来ました」とか「電車で来ました」とか答えるところを、アスペルガー障害の方は、「●●駅の3番線ホームから××線の普通列車に乗って、△△駅で地下鉄に乗り換えて……」と、とにかく答えられる範囲を一生懸命答えるのです。この場で求められている回答がどの程度の詳しさなのか、そういったことを察知するのが難しいのです。

決して間違ったことをしているわけでも、言っているわけでもありません。正直ですし、誠実に答えているのです。けれど、特に日本人は、「言葉にしなくても察してくれる、察してあげる」のが美徳だと考えているので、なかなか受け入れられないようです。前回の学習障害もそうでしたが、昔なら、少し変わっているけれど、社会がおおらかに受け入れてくれていたに違いありません。アスペルガーのお子さんの親御さんもアスペルガーだったという例を良く見ると、前回書きました。つまり、普通に成長して結婚して子どもを生んでいた、それができた社会だったのです。

あなたの言ったことがうまく伝わらなかったり、そういう場面を見かけても、イライラしないで下さい。彼または彼女は、一生懸命、誠実に受け取って伝えようとしているのです。こちらも、必要なことを端的に伝え、相手の言おうとしていることを理解しようと、耳を傾けてみましょう。その姿勢は、別に障害をお持ちの方だけに限ったことではなく、対人関係を築く基本だと思います。基本に立ち返れと、進化しすぎた我々人間は、神様に命じられているのかもしれません。

昔は、学校へ行くことが特別で、学べる環境にある人の方が恵まれていたという時代でした(今でもそういった国はたくさんありますが)。だから、学力や能力の格差も珍しくはなく、相手が少々自分の言うことを理解しなくても、あるいは、ややこしいことを言っても、お互いに相手の違いを認める気持があったのではないかと思います。今では義務教育により皆が一定の水準まで学ぶことができ、情報産業の発展によって地域格差もなくなり、自分の知っていることは相手も知っている、考えは相手も同じだ、などと、勘違いをしてしまうのかもしれません。

「みんな分かるはず」というフィルターをはずして、相手の顔を見て言葉に耳を傾けてみましょう。どんな障害があるとか病気があるとかいう以前に、相手を一人の人間として、しっかり見つめるのが、人間関係の一歩ですよね?

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