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2009年8月 8日 (土)

「わが教え子、ヒトラー」 私に癒しを

DVDが準新作になっていたので、ようやく借りて見ました。
以下、一部ネタバレになりますので、興味があってこれから見ようと思っている方は、お読みにならないことをお勧めします(自己責任でお願いします)。






舞台は1944年のナチス・ドイツ。主人公はアドルフ・グリュンバウムというユダヤ人の元俳優。16年前にもヒトラーに演説の指導をしたことがあるという理由(他にも色々とあるが)で、すっかり自信も気力も精神の均衡も失ったヒトラーに、再び昔のような演説をさせるための指南役として、ユダヤ人収容所から総統官邸に移送されました。
ちなみに、ヒトラーに演説の指導役がいたことは史実のようですが、ユダヤ人だった等は不明であり、グリュンバウムは架空の人物と思われます。

まぁ色々あって、時にコミカルで喜劇的な要素も含めつつ、悲劇のようでもあり……非常にテンポよくストーリーが進んでいきます。結末が何となく予想できるような話でもあり、重厚さとか奥深さはやや足りないような気もしますが、ユーモアたっぷりで見る人を飽きさせない作品だと思いました。

ところで、作中でグリュンバウムは何度もヒトラーに自律訓練法と精神分析を組み合わせたような手法を用いていました。ヒトラーが晩年、精神的に追い詰められ、心の均衡を失っていたことは、有名な話ですね。たぶんその話と、史実上では正体不明の演説指導者の2つをかけあわせて、この作品ができたのだと思います。
初めは頑なに「ユダヤ人の指導など受けん!」と拒絶していたヒトラーが、次第に主人公を信頼し、自信のなさ、不安、不眠などを訴え始めます。そして、ヒトラーの幼少期の心の傷にまで迫っていきます(笑)小石を飛ばすパチンコをくれた父。パチンコでハトを撃ったこと。そんな父とのエピソードが楽しい思い出として語られた一方で、翌日には、父からの一方的な虐待(これは史実のようで、厳格な父だった)と、その父への過剰攻撃とも言える言葉が語られました。夜中には悪夢にうなされ、大晦日の夜には孤独に耐えられず、主人公の部屋を訪問し、主人公とヒトラー、そして主人公の妻が川の字になって寝ると言うあり得ないシーンまで(笑)しかしここで初めてヒトラーは、家族の温かさを感じているようでした。夜中に主人公の妻がヒトラーに枕を押し付けて殺そうとしたのですが、それにも気付かずに幸せそうに眠りこんでいました。

あまりに盲目的に従順に、まるで子どものように主人公に対して心を開いていくヒトラーを見ていると、ヒトラーが可哀そうに思えてきました。主人公にはそれなりの打算があり、別にヒトラーを癒そうなんて思っていないのです(少なくとも途中までは)。
私は別にナチス肯定者ではありませんが、人物としてのヒトラーには昔から興味がありました。だから多少、同情的になるのでしょうか。
実際にもヒトラーのそばに理解者がいたら、何かが変わっていたでしょうか。

この映画のテーマは、「私にハイル(=癒し)を」だったと思います。意味としては二つありまして、ひとつは、精神の消耗に苦しむヒトラーが主人公に対して実際に述べていました。ヒトラーの心の叫びだったのでしょう。もうひとつは、声が出なくなったヒトラーに代わって演説の吹き替えをした主人公が、銃で撃ち抜かれながらも今わの際にマイクを通して言った言葉で、民衆がそれに賛同して叫んでいました。戦争の終わり、独裁の終焉、平和を取り戻すという願いを伝えたかったのか、あるいは「ヒトラーが民衆に愛を与えたことにしたかった(私に癒しを=民衆一人一人に癒しを…と解釈)」のか……。最後の主人公の意図は、視聴者の手に委ねられていました。

史実でもバリバリのアダルトチルドレンだったヒトラー総統。
彼に関する書籍はたくさん読みましたが、うーん、さすがにドイツ映画だけあって、ちょっとヒトラーに同情的だなぁと思いました(笑)

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» mini review 09379「わが教え子、ヒトラー」★★★★★★☆☆☆☆ [サーカスな日々]
第2次世界大戦末期のドイツを舞台に、闘志を失ったヒトラーと、彼にスピーチを教えることになったユダヤ人元演劇教授の複雑な関係を描くヒューマンドラマ。監督は『ショコラーデ』のダニー・レヴィ。『善き人のためのソナタ』のウルリッヒ・ミューエが、同胞のためにヒトラーを殺すのか、愛する家族を収容所から救い出すのかという選択に葛藤(かっとう)するユダヤ人教授を演じる。歴史的事実からイマジネーションを膨らませて描かれた作品世界に注目だ。[もっと詳しく] あらためて、ウルリッヒ・ミューエの死が、惜しまれることにな... [続きを読む]

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