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2013年10月19日 (土)

地上、其処も広大なる戦場 (銀河英雄伝説 ついのべ)

ツイッターで投下しておいて、ころっと忘れていた下らない話です。ロイエンタールとオーベルシュタインも、死後に和解していたらいいのにな(´・ω・`)

Line4


地上、其処も広大なる戦場


遺言を残して瞼を閉じようとすると、視線の先にぼんやりと浮かび上がる人影があった。艶やかなダークブラウンの髪と金銀妖瞳には、心当たりがあった。
「どういうことだ。なぜ卿がここにいる」
すでに唇は動かず、オーベルシュタインは思念だけでそう尋ねた。それだけで十分だと分かっていた。その人影…故ロイエンタール元帥は、生前の彼らしく冷ややかに笑った。
「水先案内人というやつだ。さすがの卿も、死出の旅路に一人では不安だろう」
かつての僚友の言葉に、オーベルシュタインが眉を寄せる。
「どうせ行き先は決まっているのであろう。この期に及んで案内が必要とも思えぬ」
卿らしい言いようだと、案内人は再度笑った。
「行き先は地獄(ヘレ)か」
開眼している力さえ急激に失われ、オーベルシュタインは脂汗を浮かべたまま目を閉じた。
「残念ながら天上(ヴァルハラ)だ」
皮肉げなロイエンタールの声に彼も笑いたいと思ったが、もはや彼の筋肉は完全に統制を受付けなかった。
「私は少なくとも、戦死ではないはずだが」
ヴァルハラは戦死者のための世界である。しかし案内人は小さくかぶりを振った。オーベルシュタインには見えていないはずだが、気配で察することができた。
「戦死だ。卿の戦場が地上であり軍務省であったというだけだ。違うか?」
オーベルシュタインは一瞬間をおいて、ふっと息を吐いた。
「卿ら前線の提督から、そのような言葉が出ようとは。どういった心変わりかな」
死の瞬間まで変わりのない冷淡さで、初代軍務尚書は氷を投げつける。
「分かっていたさ、気に食わんだけでな。俺とて、卿の職責を理解せぬ訳ではない」
彼の明晰さを考えればそういうものかと、オーベルシュタインは僅かに肯いた。
「それにだ。死んだ後まで嫌味を言うほど、俺は悪趣味ではない。ヴァルハラとはそういうところだ」
もはや返答する気力もなく、黙って続きを促す。
「生前の諍いはどうにもならん。だが、これからは卿も楽になれ」
案内人の手が伸び、オーベルシュタインも答えるように手を伸ばすと、スーッと上半身を起こした。肉体が伴っていないことは承知していた。なぜ卿が案内人なのだと問うと、ロイエンタールは苦笑しながら、生前にいがみ合っていた者が選ばれるのだと答えた。罪業への償いかと、二人は笑った。


(Ende)

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コメント

ゆいさん、こんばんは。

閣下、ヴァルハラ行けて良かったですね。

オーベルシュタインは、別にロイエンタールを嫌ってはいなかったと思います。単に、考え方が相容れなかっただけで。

ラインハルトの案内人は誰になるのだろう?キルヒアイスだといいですね。生前、喧嘩別れしたままだったから、いがみあっていたと言えなくもないとかの理由で。こじつけですが(苦笑)

リラさん、こんばんは。

閣下にとってヴァルハラが過ごしやすいところだ良いのですが。
地獄のぐつぐつ煮たった血の池地獄でも、涼しい顔で浸かっていそうなイメージはありますが(苦笑)

ラインハルトの案内人にキルヒアイス!
素敵ですね。
彼の場合、本当にいがみ合ってた人が来ちゃったら、きっぱり断って自ら地獄に走って行こうとして、結局慌ててキルヒアイスが宥めに来るような気がします(笑)

コメントありがとうございました。

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