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2013年10月 7日 (月)

オーベルシュタインのファン交流 (銀河英雄伝説二次小説SS)

ヅカ銀ファンのオフ会から帰宅途中、電車の中で弾丸のように携帯に打ち込んだ話です。
みんなでヅカ銀カラオケ楽しかった~~~!
そんな余韻を残したお話。

Line4


オーベルシュタインのファン交流


不機嫌さを隠そうともしない上官を強引にそのビルへと押し込んで、フェルナーは端正な顔に笑みを浮かべた。
「凄く良い店なんです。閣下にご紹介したくて予約したんですから、せめて少しだけでも覗いて下さいよ」
部下の言葉は一見腰が低いが、このまま帰す気のないことは、出口を塞ぐように立つ態度に表れている。
いらっしゃいませ、という店員たちの声さえ忌々しく思えて、オーベルシュタインは罪のない彼らにその仏頂面を向けた。そうしながらも、自分とフェルナーの背後に控えている護衛の憲兵隊員に目をやる。常と変わらぬ顔を確認し、フェルナーに買収されている様子はないと理解する。
少なくとも、危険はないであろう。
さっさとチェックインを済ませた部下に連れられて階段を上がる。左右に並ぶ個室。扉の上部には部屋番号と思しき数字が刻まれている。
この間隔でドアがあれば、部屋の広さはたかがしれていよう。ホテルの類ではなさそうで、その用途が判然とせず、一段と眉間の皺を深くした。
と、前を行く部下が唐突に足を止める。
「なんだ」
部下の踵を蹴り上げそうになり、慌てて自分も立ち止まる。振り返った部下の悪意に満ちた笑みを見て、やはり蹴り上げておけばよかったかと思ったが、後の祭りであった。
フェルナーが217号室と書かれたドアを押し開けると、途端に女性たちのやかましい声がオーベルシュタインの耳を貫いた。
「こちらです」
危険がなければ良いかと、大した抵抗もせずにここまで来てしまったことに、後悔する間もなかった。
「きゃあああああああ!!!」
「オベ様!リアルにオベ様!!!」
「閣下ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
マイクを通した黄色い声は、鼓膜をつんざくという表現でおさまるものではなかった。ガーンともキーンとも言えない”音”が頭の中をえぐるように反響して、オーベルシュタインは遠のく意識を何とか保ちながらテーブルに手をついた。無意識に取り出していた軍支給のハンカチを左手で握りしめる。
「フェルナー准将、これはどういうことだ」
一刻も早く、この騒々しい空間から逃げ出したい思いで、抑えたというより力の入らなかった声で問いただす。
「ご覧の通りカラオケですよ。いくらなんでも一般常識としてご存知でしょう?」
そんなことを聞いているのではないと言いたかったが、頭の中の残響に邪魔されて、思うように言葉が出ない。
そうこうするうちにも、調子に乗った部下が説明を始める。
「閣下、これが専用マイクとリモコンです。あのモニタに歌詞と映像が出ます。そしてこちらのフロイラインがたが、閣下を慕っているという奇特な……ちょ、ちょっと、無言で帰るのやめてもらえませんか!閣下!!」
精一杯の抵抗の証として、灰色のハンカチをテーブルへ叩きつけてから、オーベルシュタインは足早に廊下を抜けて行った。

残されたハンカチが、当人の意図とは無関係に”ご褒美”として争奪戦の的となったことは、ここで語るまでもないだろう。


(Ende)

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コメント

ゆいさん、こんばんは。リラです。

久しぶりの二次創作ですね!

「閣下とカラオケ」という組み合わせに思わず吹き出しました。以前の「二日酔い」と並んで、閣下とのありえない組み合わせパート2みたいな。

でも、閣下が来て騒ぐ女の子たちを見て、「閣下とキャバクラ」とか、「閣下と部下の女の子たちとの飲み会」とかなら意外といけるかも!とか思ってしまいました^^

閣下は流行歌なんて興味なさそうだけど、実は歌はうまいとかだといいですね。

リラさん、こんばんは!

久々になってしまいましたね(^^;
コメントありがとうございます。

あり得ない上に、帝国にお住まいの女子ではなく、現代日本のオタク女子の集まりに、閣下が投入された感じですよね(苦笑)

閣下とキャバクラは私も一瞬考えました。

目の悪い方は耳が良いと言いますし、耳が良いと歌もうまいのかな……。後日、フェルナーがリベンジで二人でカラオケボックスに連れて行って、閣下に歌わせていると良いです♪

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